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2021年に大分県大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故の裁判のニュースです。
29日から福岡高裁で控訴審が始まりました。
◆TOS山路謙成記者 福岡高裁
「危険運転が成立すると認められた大分地裁の判決からおよそ10か月。双方が控訴したこの裁判は再び高裁の舞台で争われることになりました」
2021年に大分市大在で起きた時速194キロの車による死亡事故。運転していた当時19歳の男が危険運転致死の罪に問われています。
福岡高裁で始まった29日の控訴審、被告の男は出頭しませんでした。
検察側はスピードの出し過ぎだけでなく交差点で通行を妨害しようとした「妨害目的」もあったなどと主張。新たな証拠を3点提出しましたがいずれも認められませんでした。
一方、弁護側は危険運転致死罪の適用に誤りがあり損害賠償金も支払っているなどとして刑を軽くするよう求めました。
裁判は即日結審し判決は2026年1月22日に言い渡されます。
これまでの経緯を振り返ります。
2021年2月、大分市大在の県道交差点で当時19歳の男が運転する時速194キロの車が右折車と衝突し、運転していた小柳憲さん50歳が亡くなりました。
大分地検は当初車を運転していた男を法定刑が7年以下の「過失運転致死罪」で起訴。
一方、遺族はこの判断に納得出来ないとして署名活動などを実施、その後、地検は法定刑が20年以下の「危険運転致死罪」に起訴内容を変更しました。
そして2024年11月裁判員裁判が始まりました。
裁判では「危険運転致死罪」の適用を主張する検察側と「過失運転致死罪」の適用を主張する弁護側が真っ向から対立。
最大の争点は時速194キロという猛スピードによる事故が危険運転と認められるかどうかでした。
大分地裁は「ハンドルやブレーキ操作のわずかなミスによって事故を発生させる危険性があった。進行を制御することが困難な高速度であった」として危険運転致死罪を適用し、被告の男に懲役8年を言い渡しました。
◆遺族 長文恵さん(2025年2月 大分市)
「現行法で認められるということを大分地裁は証明してくれたのではないかと思っているが、一審を超える量刑を求めて私はこれからも闘い続けていこうという決意をいましている」
判決を受けて遺族は「量刑が軽すぎる」として、被告は判決を不服として双方が控訴し29日福岡高裁で二審が始まりました。
危険運転致死傷罪は猛スピードによる事故というだけでは立証のハードルが高いのが現状です。
大分の事故などをきっかけに「法律が分かりづらい」などという声が高まり現在、国の法制審議会が見直しを進めています。
29日始まった控訴審では法廷で見守った遺族などが裁判の後会見を開き、いまの胸の内を明かしました。遺族の長文恵さんは一審の懲役8年よりも重い判決を求めていますが、29日検察側の新たな証拠が採用されなかったことについては。
◆遺族・長文恵さん
「今回『妨害運転』が認められれば求刑(懲役12年 )に近づくチャンスが得られる かという控訴審だったが残念ながら妨害運転を認められない形となるのは非常に残念」
また長さんは、「控訴審は勝つとか負けるとかではなく今のこの法律の限界を見せてくれるものと思い判決を待ちたい」と話していました。
福岡高裁で裁判を取材した刀祢さんに伝えてもらいます。刀祢さん。
◆TOS刀祢優月記者
初公判は午後2時半から始まりました。裁判の間、遺族の長文恵さんはペンを持ち、ノートを広げて双方の意見を聞いていました。
裁判後の会見で、長さんは法廷に被告が現れなかったことについて「姿を見せないということは自分の人生を人に任せているのか。私たちに顔を合わせるという気持ちがないのか」と話していました。
東京では29日、危険運転致死傷罪の法改正に向けた5回目の法制審議会が開かれていて、この中では速度超過に具体的な数値基準を設けることなどが議論されています。
今後の裁判と法改正の動きが注目されます 。