2万着から役を彩る一着を選び抜く衣装の匠、時代劇ドラマ制作の舞台裏と職人の仕事

2025年07月16日 21:00更新

名優の技が光る瞬間!ドラマ「はぐれ鴉」制作現場の舞台裏

 

大分を舞台にした時代劇ドラマ「はぐれ鴉」。その制作現場では、職人たちの熱気が渦巻いていた。およそ50人のスタッフが結集する現場の息遣いをレポートする。

 

刀の作法から侍の心まで伝授する所作指導

 

東映京都の俳優部に所属する峰蘭太郎さんは、主演の神尾楓珠さんをはじめとする出演者たちに時代劇特有の所作を指導。「侍が刀を置くときには右に置く。左に置くと、右手で刀を抜くものだから相手を切ってしまうと間違われる」と基本的な作法などを丁寧に伝えていた。

 

 

峰さんは日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた『侍タイムスリッパー』に出演した実力派。「時代劇が少ない中で本当に骨のあるしっかりした作品」と「はぐれ鴉」の魅力を語り、「東映京都の我々が培ってきた技術を出演の方々に所作指導という形でお伝えできて、自分としては感無量です」と熱い思いを明かした。

 

 

 

2万~3万着から役を彩る一着を選び抜く衣装の匠

 

東映京都の衣装倉庫には、2万から3万着もの衣装が保管されている。衣裳部の古賀博隆さんは、台本を読み込んだ上で作品や役どころに最適な衣装を厳選するプロフェッショナルだ。

 

 

ゴールデングローブ賞やエミー賞受賞の『SHOGUN 将軍』で、主演とプロデューサーを務めた真田広之さんとは旧知の仲。真田さんから『SHOGUN 将軍』の撮影現場(カナダ)に呼ばれ、着付けを担当した。「東映京都は1人の着付けに10分も15分もかけていられない。数が多すぎて。次から次に来るしね」と語る古賀さん。その迅速な技術に『SHOGUN 将軍』のスタッフが驚き、動画を撮られたというエピソードも。

 

 

 

時代劇の盛り上がりに期待

 

「ちょっとずつ増えたらいいな、時代劇が。あちこちからオファーがくればいいんですけど、東映にね」と、時代劇の盛り上がりに期待を寄せている。

 

大きな掛け声で現場を鼓舞する名監督の手腕

 

制作スタッフを束ねるのは、「鬼平犯科帳」シリーズや「大岡越前」シリーズ、「眠狂四郎」など数々の名作を手掛けてきた山下智彦監督だ。

 

 

撮影現場では、メイキング撮影を担当するスタッフに「でかい声出すんで、びっくりなさらないでね」。そして、「テスト!よーい、スターッ!」と大きな掛け声を現場に響き渡らせた。この掛け声は、スタッフやキャストの気合を引き出す。

 

京都弁でツッコミを入れたり、細やかな心くばりをしたりする人柄も慕われる。「はぐれ鴉」に出演する椎名桔平さんからは「京都でも指折りの監督」と評されている。

 

 

 

撮影で大切にしていることを聞くと「俳優ひとりひとりの気持ち。その時の心情を大事にしました」と答え、キャストへのリスペクトや作品への愛情が伺えた。

 

 

豪華なキャストと熱意あるスタッフがつくりあげた時代劇ドラマ「はぐれ鴉」。どのように仕上がったのか、期待が高まる。

 

 

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