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大分県内の沿岸部では今、海藻が繁殖したいわば「海の森」ともいえる場所が減っています。
「豊かな海」の象徴でもある「海の森」を守ろうと奮闘する佐伯市の漁師たちの取り組みを取材しました。
佐伯市鶴見の松浦漁港。ここは第1回全国豊かな海づくり大会の開催地で先日の第43回大会でも魚の放流行事が行われた大分を代表する「豊かな海」です。
しかし、今、異変が起こっています。
海中に広がる岩場。その表面には海藻が全く生えておらず岩肌がむき出しになっています。藻場が消滅する“磯焼け”です。
こちらでは20年ほど前からみられるようになり、全国各地でも問題に…要因としては温暖化による生態系の変化などが考えられるということです。
◆佐伯湾地区藻場保全活動組織 軸丸幸信会長
「磯焼けするとアワビやサザエは育たないし、仮に育っていってもやっと生えたものを食べているだけなので、実は痩せているし良いものができない。磯焼け、真っ白になるので何も採るものが無くなる」
藻場は魚や貝のすみかや産卵場所となるほか、酸素を供給する役割を果たしていることから「海の森」と呼ばれています。この「海の森」は「豊かな海」を守るためには欠かせない存在です。
11月上旬、アワビなどが禁漁となる期間にあわせて、地元の漁師たちが行っていたのは「駆除」。
◆漁師
「きょうは『ガンガゼ』つぶし。『ガンガゼ』を割っていく」
「ガンガゼ」とは岩場に生息しているこのウニのこと。海藻を食べるため、磯焼けを引き起こす原因となっています。
旨味が少なく、商品価値が低いことから、漁師たちが1つ1つつぶして駆除しています。
また、駆除だけではなく、「海の森」を増やす取り組みも行っています。
海藻を刈り取って向かったのは磯焼けが進む場所。海藻を入れたネットを設置します。
こうすることで、ここに海藻の胞子が出され、藻場の再生が促されます。
この地区では15年ほど前からこうした活動を続けていて、少しずつ成果が現れてきているそうです。
◆佐伯市鶴見地区 漁師・浜野慶太さん
「最初磯焼け状態に比べると、かなりの改善は見られてると思う」
◆佐伯湾地区藻場保全活動組織 軸丸幸信会長
「自分らで守るんだ、自分たちの(海の)ためにという意識をみんなが持ったのが一番の成果」
ただ、課題は保全活動の継続です。
高齢化などで担い手が減っていますが、今は何とか活動を続けています。
◆佐伯湾地区藻場保全活動組織 軸丸幸信会長
「アワビにしたってサザエにしたって、ちゃんと採れる大きさになるまでに3、4年かかる。藻場を大事にしてそこに稚貝を入れて育ったものを捕獲するというのができたときにやってよかったと思う」
「豊かな海」を守る漁師たちの努力で「海の森」は育まれています。