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大分県大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故の裁判員裁判は、12日大分地裁で被告人質問が行われ男は当時の心境を振り返り、改めて遺族に対して謝罪の言葉を述べました。
◆被告の主張
「自分が車を運転していく上で自分の欲望を制御できなかった」
12日の裁判で事故当時の心境を振り返った被告の男。
これは2021年2月、大分市大在の県道交差点で小柳憲さんが車を運転し右折しようとしたところ、時速194キロで走行する車と衝突し亡くなったものです。
検察は当初、車の運転手だった当時19歳の男を法定刑が懲役7年以下の過失運転致死罪で起訴しましたが、遺族の署名活動などの後、法定刑が20年以下のより刑の重い危険運転致死罪に起訴内容を変更しました。
裁判員裁判は11月5日から始まり、5回目の公判となった12日は被告人質問が行われました。
弁護側の質問の中で被告は、車のマフラーやエンジンから出る音を聞き、加速する感覚を楽しんでいたことや過去には高速道路で時速およそ200キロで3回ほど、一般の道路でも時速170キロから180キロで5回から10回ほど運転した経験があることを明らかにしました。
そして事故当時の心境について、被告の男は「アクセルを踏み始めた後から加速する感覚を感じ、ワクワクする感じがあった」と述べました。
さらに走行中、ハンドル操作に支障が出たり時速194キロの速度が出ていた感覚があったかどうかについては、いずれも「ありませんでした」と答えました。
また、小柳さんと遺族に対して、被告は「身勝手にスピードを出したいという欲望を抑えられず大切な命を奪ってしまったことに対して申し訳なく思う。謝って許されることではないが、これからも小柳さんへの謝罪の気持ちを持ち続けていきたい」と謝罪の言葉を口にしました。
一方、検察側は高速度で運転することの危険性の認識などを質問しました。被告は高速度になるほど視界が狭くなっていたことや小柳さんの車を認識できていなかったことなどを明らかにしました。
このほか、事故当時のような高速度で運転した時に、対向車線から右折車が来た場合については「直進優先なので相手にゆずらせる考えだった」と答えました。
今回の裁判について取材を続けているTOSの山路記者が詳しく解説します。
◆山路謙成記者
最大の争点は「危険運転致死罪が成立するかどうか」です。その中でも「制御困難な高速度」と「妨害運転」という2つの要件を立証できるかがポイントで、検察側はこれまでの裁判で警察やプロのドライバーなどの証人尋問を行いました。
そして、きょうの裁判では弁護側の証人尋問として被告の両親が証言しました。被告の父はこの中で「自分で車を購入できてうぬぼれていたし、調子に乗っていたと思う。息子の行動やちょっとした変化を気付いてあげるべきだった」などと涙ながらに証言していました。
午後の被告人質問では被告が何度も一般道で法定速度を大幅に上まわるスピードで運転し、高揚感を得ていたことも明らかになりました。
こうした状況から、被告の規範意識の薄さなどが浮き彫りになったと思います。
また、弁護側による両親への証人尋問からは、被告が車を購入した経緯なども判明しました。
11月15日は被告の最後の陳述が行われ、検察側が求刑する見通しです。