夏祭りシーズン到来も‥神輿の「担ぎ手不足」深刻 開催期間短縮やトラックに乗せ運ぶなど対策も

2024年07月27日 08:00更新

梅雨が明け、いよいよ夏本番です。大分県内各地では夏祭りの準備が進められています。

 

祭りをさらに盛り上げるのが「神輿」ですが、いま、その神輿の「担ぎ手不足」が深刻化しています。現状や対策を取材しました。

 

 

 

 

 

 

大分県大分市の西新町天満社では、祭りで行われる神輿の巡行に向け本格的な準備が始まっています。

 

西新町天満社では7月21日から25日にかけて夏季大祭が予定されています。

 

 

この祭りはおよそ400年前から学問の神様として知られる菅原道真を祀るために始まったとされていて、この日は、祭りを運営する青年会のメンバーおよそ20人が集まり提灯の組み立てなど準備が進められていました。

 

 

和気あいあいと準備を進めるメンバーですが、いま、どの祭りでも問題視されているのが神輿の「担ぎ手不足」です。

 

 

 

 

大道町など13の町内の人たちで天満社の祭りをしていますが、10年前と比べて参加者は半分以下に減少しました。

 

 

高齢化や人口減少に加え、新型コロナの影響で祭り離れが進んだことも原因だと言います。

 

 

天満社では少しでも「担ぎ手不足」を解消しようとことしからポスターにQRコードを添付。

 

 

法被も貸し出し町内以外の人も気軽に参加できるように工夫しています。

 

 

 

 

◆西新町天満社 成年総代会佐藤政広会長

 

「伝統も大事だが今生きている地域の人たちがその伝統を少しでも身近に感じてもらえるようなことが、“守る守る”だとなかなか周りがついてこないご時世なので、なんとか(今の時代に)近づいていけたらと思う」

 

 

天満社はこのほか、長浜神社や若宮神社など市内5つの神社と協力体制を取り、それぞれの祭りの神輿の巡行を手伝い合うという取り組みも行っているそうです。

 

 

しかし、それでも1日10時間近く練り歩くため人出は足りていない状況だということです。

 

 

 

この西新町天満社の祭りの青年会には唯一の20代として参加している柴田航宣さんは、小学5年生の頃から祭りに参加していたそうで最初は参加賞のお菓子目当てだったそうですが、参加するうちに担ぎ手の魅力に気付き、いまではメンバーとして祭りを支えています。

 

 

柴田さんは「SNSなどをより活用すべきだが祭りの運営側の年齢層が高いためノウハウが浸透しにくい。まずは、告知の方法を改善することが問題解決の第一歩になるのでは」と話していました。

 

 

 

また、このほか大分市内の別の神社では担ぎ手不足により、巡行の距離を縮める取り組みも行われています。

 

 

浜の市でお馴染みの大分市の柞原八幡宮では、鎌倉時代から3基の神輿を本殿から仮宮に運ぶ神事が行われています。

 

1基の重さはおよそ600キロ。歩く距離は4キロほどとかなりの負担がかかるこの神事。

 

 

しかし神輿は数年前から巡行ルートの大半の距離をトラックに乗せて運んでいます。

 

 

主な理由は人手不足。昔は地域住民の人たちと協力しながら運んでいたそうですが、いまでは人も集まらず企業に協力してもらっているほか祭りの開催期間を短くするなどして対策しています。

 

 

 

◆柞原八幡宮 長沢周一郎禰宜

 

「神輿は通る道が決まっていて、“必ずこの道を通ってお下りするんだ”とそこに鳥居が合ったりするから、そのようなこともあって途中でトラックに乗せたりしないと担ぎ手もばててしまうというところもあって、トラックをお願いしている。なかなか大変ではあるがそれは形を変えてでもなるべく昔ながらの祭りを伝えていきたい。それが次の世代に繋ぐ私たちの仕事でもあるのでそこは頑張っていく」

 

 

 

ここで県内の年代別の人口の推移を見ていきます。

 

20年前と2023年の県内の人口を比較すると、若者を中心に減少傾向にあり全体ではおよそ11万人減少しています。

 

 

豊後大野市三重町では数年前から「らいでん祭り」が開かれていましたが、人手不足などを理由に2023年を最後に幕を閉じてしまいました。

 

 

市ではこれを受け、祭りの主催者に対して「金銭面」や「開催にあたっての不安」が無いかアンケートを取るなどして祭りの存続に向けて取り組んでいるということです。

 

 

 

「祭り」は地域の交流人口を増やすという役割もあり、経済的な効果ももたらすため、地域の存続にとっては非常に大きな存在です。

 

伝統的な祭りを絶やすことなく存続させるために手を取り合っていく必要がありそうです。

 

 

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