「国民の負担が増えれば出生率は下がる」少子化対策の新たな制度「子ども・子育て支援金」でどうなる?

2024年07月16日 15:00更新

止まらない少子化。政府は子育て世帯に向けて様々な支援を打ち出しています。ただ支援の原資となる税金などの負担も大きくなっていて少子化に歯止めがかからない現状も。そんななか2026年度から「子ども・子育て支援金」の財源のため国民にさらに新たな負担が加わります。

 

「少子化対策と増える負担」について取材しました。

 

 

 

一人の女性が生涯に産む子供の数合計特殊出生率について、2023年の大分県は「1.39」と3年連続の減少で過去最低でした。

 

さらに、出生数も6259人とこちらも13年連続で減少しています。

 

こうした少子化に歯止めがかからない状況を打破しようと、政府も対策は進めていて、6月「子ども・子育て支援金」を新設する法律が成立しました。

 

これにより、児童手当は所得制限がなくなり高校生まで拡充されたり、妊娠・出産時に10万円相当の給付が行われます。

 

 

 

 

 

ただ一方で「子ども・子育て支援金」の財源のため2026年度から国民に新たな負担が加わります。

 

 

その負担額は加入する公的医療保険によって変わりますが、政府の試算では制度が確立する2028年度に、加入者1人あたりの平均で月に450円になるということです。

 

 

つまり、子育て支援は手厚くなるけどその分、我々の負担も増えるということになります。

 

 

 

支援の対象となるお父さんやお母さんはどのように考えるのか。

 

2024年4月、大分市に新しくできた複合公共施設にある「府内こどもルーム」で話を聞きました。

 

たくさんのおもちゃや、砂場もあり、広いスペースで子供と遊ぶことができます。

 

 

市内に住む親子は無料で利用することができ、土日の多い時には1日300人もの親子が訪れるということです。

 

 

 

◆こどもルームに訪れていた子供2人がいる親

 

「児童手当とか定額減税は素直に助かる支援」

 

 

(Q:3人目を考えているか)

 

「まったく考えてない。金銭的にが一番大きい。どうしてももう一人増えるとお金もかかるし」

 

 

◆子供2人がいる親

 

「思っていた以上に子供が生まれてからおむつ代とか洗濯を回す回数が増えてすごくお金はかかる。(子供が)これから大学とか行ったときは、お金がかかるので、ちょっと不安がある」

 

 

◆子供1人がいる親

 

「所得がそんなに変わらないのに税金がどんどん上がっていくので、どこで節約できるか日々考えて生活している。お金のことを考えずに子供を産むっていうのは難しいかなと思う」

 

 

新たな支援制度は助かるという声はあるものの、子育てにかかるお金は大きな悩みとなっているようです。

 

 

こうした現状をどう考えるのか子育て支援に詳しい日本文理大学の河村裕次准教授に聞きました。

 

 

 

◆日本文理大学経営経済学部河村裕次准教授

 

「国民負担率が上がれば上がるほど、出生率は下がっていくという統計的なデータがきちんと示されている。負担が上がれば結婚の数が減っていくというデータが出ているので、この負担をどう減らすのか、もしくは負担を上回る給付を受けられるようにするのかというところが、今後の子育て支援では必要になってくるかと思う」

 

 

国民負担率とは、国民の所得に占める税金と社保障費の割合の数値です。

 

どれくらい増えているかというと、1970年度は24.3%でした。それが20年後の1990年度には38.4%と上昇しています。

 

そして、2022年度には過去最高の48.1%と、稼いだお金の半分近くがが税金や社会保障費で徴収されています。

 

 

手厚い支援の一方で、税金や社会保障費の負担が重くなっているのも事実であり、若い世代がお金の心配なく、子供を産んで育てていける環境づくりが求められます。

 

 

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