妻子殺害 67歳の男に無期懲役 大分地裁「我慢してきた気持ちが耐えられなくなり爆発して実行」

2024年04月26日 16:50更新

2023年8月、大分県大分市の住宅で38歳の妻と9歳の息子を殺害したとされる男の裁判員裁判で大分地裁は26日、男に対し無期懲役を言い渡しました。

殺人の罪で無期懲役の判決を受けたのは、大分市羽田の無職・首藤伸哉被告67歳です。判決などによりますと首藤被告は去年8月、自宅で、妊娠中の妻・李東娜さん38歳と息子の首藤佑馬くん9歳の胸などを、ペティナイフで突き刺して殺害したとされています。

これまでの裁判で検察側は「1年以上前に鋭いペティナイフを購入しガレージに保管して定期的に切れ味を確認していた。周到に準備した計画的な犯行で2人の命を奪った結果は重大である」などとして、首藤被告に対し無期懲役を求刑。一方、弁護側は「犯行は突発的なもので、計画性は伺えない」などとして情状酌量を求めていました。

そして、26日に開かれた裁判員裁判。大分地裁の辛島靖崇裁判長は首藤被告に対し、求刑通り無期懲役を言い渡しました。

その理由として辛島裁判長は「強固な殺意に基づき、あらかじめ用意した殺傷力の高い凶器で殺害したものであり、生命無視の態度は強く、突発的な犯行とは評価出来ない。被害者の言動が原因となった面はあり、それまで我慢してきた気持ちが耐えられなくなり、爆発して実行された犯行だが、殺害という方法を選択したことは短絡的といわざるを得ず、強い非難を免れない。

「特に、妻を殺害した場合には息子も殺害して、自殺することを決めていたなどという理由で、何ら落ち度のない息子を殺害したことは、あまりに身勝手で酌量の余地はない。遺族が厳重処罰を求めていることは十分理解できる。被告人の犯行後から自殺を図るまでの行動からは、被害者2人を真に悼んでいた心情はうかがわれないし、反省が十分に深まっているとは言い難い」などとして求刑通り、無期懲役を言い渡しました。

弁護側は控訴しない方針です。

判決を受けて、遺族は会見を開き「きょうの判決に対して不満を持っている。検事が無期懲役を求刑した時点で、とても納得できない。刑がとても軽いと感じている」と話しています。

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