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今月21日、津久見市で初めてとなる住民投票が行われます。大分県内では2003年8月に旧弥生町(現佐伯市)の合併をめぐって行われて以来、21年ぶりとなります。
住民投票は特定の「政策」などに対して住民が直接、投票して意思を示すものです。
全国でもこれまで、大阪都構想をめぐってや、沖縄の米軍基地建設に伴う埋め立ての賛否を問うものなど、様々な問題について行われてきました。
新庁舎の移転先を問う津久見市の住民投票、市民はどのような判断を示すのでしょうか
雨漏りは応急処置 廊下内まで荷物が・・ 60年以上が経過した庁舎内
ーー津久見市 石川正史市長
「ぜひ投票に足を運んでください。よろしくお願いします」
19日、街頭で住民投票への参加を呼びかけた津久見市の石川市長。
一方、市議会議員も住民投票を知らせるチラシを市民に配っていました。
今回、住民に問われているのは建設から60年以上が経過した市役所の移転先です。
庁舎の中を職員に案内してもらうと・・
ーー津久見市経営政策課 渡辺圭さん
「これが雨漏りの処置の状況。屋上の防水が劣化が激しくてどんどん雨漏りして直すお金もないので‥」
老朽化した庁舎では複数の場所で雨漏りが発生し、応急的な修理でしのいでいました。会議や倉庫のスペースも不足していて、廊下に入りきらない書類や備品が積み上げられた状態。国の耐震基準も満たしていないため20年ほど前から移転が検討されてきました。
移転案の1つが2018年から計画が進められてきた津久見港のそばに新庁舎を建設する案です。市の中心部に位置し利便性が高い一方で懸念されるのは津波のリスク。
想定される津波の浸水の深さは3.5mのためそれよりも高い2階以上に庁舎機能を置く予定です。
ーーTOS鹿島記者
「もう一つの案が先月閉校した第二中学校などを活用する案。ただ、建物のすぐそばには急斜面があり土砂災害警戒区域に指定されている」
去年12月に当選した石川市長が主張するのは、中心部からやや離れた第二中学校の跡地を本庁とし市内にあるほかの2つの建物を活用する案です。中学校跡地は津波による浸水は想定されていません。
しかし、土砂災害の危険性があり、そのほかの2つの建物は津波の浸水が予想されています。
また金額の面では、総事業費はそれぞれ新庁舎建設案が約44億円と第二中学校活用案が約17億円。ただ、国の補助金などを活用すると、市の実質的な負担は約19億円と約16億円という試算になっています。
自治体の未来を占う住民投票・・津久見市民は
今回の住民投票に津久見市民は‥
ーー津久見市民
「今までしたことがないから住民投票とかいうのを戸惑う」
「どちらもリスクがあると考えると全部リスクを排除するというのは難しいと思うので普段の利便性とかも考えて選ばなければと思う」
災害リスク、費用、利便性―。市民には様々な要素を考慮して判断することが求められています。
県内でも、過去に合併問題など「自治体の未来」を占う場面で住民投票が行われてきました。
住民投票について地方自治の専門家は「市民にとっても重要な機会」だと話します。
ーー北九州市立大学法学部 黒石啓太准教授
「住民投票は住民が政治参加の方法の一つとして、自ら意思をしっかり示すことができる貴重な機会」
「住民投票の実施が、住民が津久見市をどのような地域にしていきたいのかを考えるきっかけになると思う」
意思を示す住民投票・・一方で注意点も
貴重な政治参加の場となる住民投票ですが、注意すべき点もあるといいます。
北九州市立大学の黒石准教授によりますと、「住民がその政策に対して必ずしも十分な知識があるとは限らないため、住民投票では自治体が有権者に対して中立で十分な情報を提供しなければ、結果として地域にいい影響をもたらさない恐れもある」と指摘しています。
実際、津久見市は今回の住民投票について住民への説明会を10回行うなど、丁寧な周知を図っています。
今回の住民投票は、条例に基づくもので法的拘束力は伴いません。
しかし、条例の25条で「市議会および市長は、住民投票の結果を尊重するものとする」と定めています。
一方で、今回の住民投票はおよそ1600万円の税金を投じて行われますが、有権者の半数以上の投票が無ければ不成立となります。
成立の有無も含め、どのような住民の意思が反映されるのか。
住民投票では一人一人がしっかりと考えて判断し、そして「投票する」ことが何よりも大切です。