【遺族会見・詳報】時速194キロ死亡事故「シートベルトがちぎれ、腰から粉砕」「過失なわけない」大分
去年6月、大分県別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件について、逃走している容疑者の男が、「重要指名手配」に指定されました。
また、逮捕につながる有力な情報の提供者には最大で300万円の公的懸賞金が支払われることになります。
道路交通法違反での指定は全国で初めてで極めて異例となるこの事件。
事件当時は別の事件で有罪判決を受け執行猶予中だったという男。これまでの事件の経緯をまとめました。
現場から逃走・・5日後に公開
去年6月29日、午後7時45分ごろ大分県別府市野口原の県道交差点で赤信号のため並んで停止していた原付バイクと普通バイクに坂を下ってきた軽乗用車が追突しました。
この事故で原付バイクに乗っていた当時19歳の男子大学生が死亡。
普通バイクに乗っていた大学生が軽いけがをしました。
追突した車は交差点の脇にある信号機の柱に衝突。
車を運転していた男は車を放置し現場から逃走しました。
警察は事件発生から5日後の7月4日、道路交通法違反のひき逃げの疑いで八田與一容疑者(当時25歳)の氏名と顔写真を公開しました。
事件直前「言いがかりをつけてきて・・」
八田與一容疑者は事件直前亡くなった大学生との間でトラブルがあったということです。
事件の被害者の1人はTOSの取材に応じ、「八田がスピーカーですごい大きい音を流していてそれをちょっと不審に思った(亡くなった)彼が八田を少し見た。それにカッとなったか分からないが言いがかりをつけてきてという感じ。本当にそれだけのことだった。15秒、30秒ぐらいのすごく短いやり取りだったと思う」と当時を振り返りました。
別の事件で有罪判決も
捜査関係者によりますと、八田容疑者の車は制限速度の40キロを大幅に上回る100キロ近くのスピードで走行していたとみられバイクに追突するまでブレーキ痕は残されていませんでした。
こうした状況から、警察は八田容疑者が意図的に追突した可能性があるとみて捜査を進めています。
また、八田容疑者は事件当時、別の事件で有罪判決を受け執行猶予中だったということです。
県警も遺留品など公開で情報提供呼びかけ
警察はこれまでに事件直後の八田容疑者の映った防犯カメラの映像を複数公開していて、その中には事件直後、裸足で海の方向へ向かう姿などが映されています。
また、ことし5月には事件前に撮影された新たな動画と複数の遺留品も公開されました。
その中には事件当時に着ていたとみられる黒いTシャツも。
このTシャツは事件の発生から数日後、現場からおよそ2キロ離れた別府市北浜のヨットハーバーの駐車場で捜査員が発見しました。
異例の重要指名手配
こうした中、警察庁は今月8日付で八田與一容疑者を「重要指名手配」に指定しました。
重要指名手配は殺人事件の容疑者など、全国の警察を挙げて捜査すべき凶悪事件と位置付けられるもので、道路交通法違反での指定は全国で初めてです。
警察庁はその犯行や凶悪性などから「殺人に近い形態」と判断したとしています。
また、捜査次第では殺人容疑なども今後検討の対象になるということです。
さらに捜査特別報奨金の対象事件にもなり、有力な情報の提供者に対して最大で300万円が支払われます。
重要指名手配の容疑者は八田容疑者含めて全国で14人で、そのうち捜査特別報奨金の対象事件になっているのは5人のみ。
また、大分県内の事件で重要指名手配と捜査特別報奨金の対象となるのは初めてです。
警察庁は15日午前5時から、ホームページに公開したほか、今後ポスターを活用し広く情報提供を呼び掛けます。
遺族も私的懸賞金500万円を用意
八田容疑者は身長およそ175センチ、体型は中肉で以前、大分県杵築市、栃木県日光市、千葉県千葉市、石川県鹿島郡にこれまで住んでいて土地勘があるということです。
遺族などは事件後からSNSなどで広く情報提供を呼び掛けていて、事件の解決につながる有力な情報の提供者に最大500万円の私的懸賞金を出すとしています。
県警には8月末時点で1401件の情報提供が寄せられていますが、有力な情報はないということです。
八田容疑者に関する情報の提供先は別府警察署0977-21ー2131です。