突然の「パリで引退」宣言 その裏には理想とのギャップ‥中西麻耶選手の思い

2022年10月11日 13:30更新

陸上競技・走り幅跳びのパラリンピアン、大分県由布市出身の中西麻耶選手。

東京パラリンピックから1年、中西選手は「パリで引退」という大きな決断をして、2年後に臨もうとしています。

突然の引退宣言の理由は「自分自身のこと」ではないと話します。

 

6位に終わった東京パラ五輪 残ったのは「寂しさ」

 

中西麻耶さん、37歳。

1年前の東京ではメダルが期待されながらも、6位入賞に終わりました。

 

1年前を振り返ったとき、麻耶さんから出てきた言葉は自身の悔しさよりも、コロナ禍でその後につながらなかったことの寂しさでした。

 

◆中西麻耶さん

「この東京開催ということでパラリンピック盛り上がり、身内でない人たちというか、関係者以外の方でもわりかし会場に見に来てくださりつつあった動きが、やっぱりぱったりなくなっちゃったなぁっていうのがすごく寂しくて。そう思うと、東京でせっかく開催されたパラリンピックで一体我々は何を残せたんだろうというのを深く考える時間がずっと続いている感じですね」

 

 

突然の“引退宣言” その裏には「スタッフを揃えること」の難しさが

 

そして8月の終わり。

中西選手のインスタグラムに、驚きの言葉がアップされました。

 

『2024年でキッパリと引退しようと思います。』

 

 

 

◆中西麻耶さん

「もうパラリンピック何大会も出てきて、年々スタッフを揃えるのがものすごく大変になってているんですよね。実は」

 

自分自身のことが理由ではなく、年々難しくなるコーチ探しといった、「戦いに行く準備が整わない」ことが決断の理由のようです。

 

◆中西麻耶さん

「ベテランのくせに申し訳ないんですけど、1人じゃ全然やれなくて。毎日一緒にやったら世界記録に届くのにな、っていうのがすごく、やっぱりもどかしいんですよ。でもやっぱり、それってどれだけ大変なことかもわかっていますし、コーチの方にはコーチの方の人生もあるし、コーチの方の家庭もあったりするんで」

 

中西選手の競技への思いと、その道のりを共にするコーチと出会えないつらさ。

そのバランスの中で導いた究極の選択のようです。

 

 

「私の有終の美を見届けて」

 

残された時間はあと2年。

 

◆中西麻耶さん

「パリまでの残り2年間って、言ったら今までのスパンの半分なので、その半分の期間なのであれば100%、自分がやるべき選択をしっかりと妥協することなくやっていこうと思っているので、最後まで私の有終の美を見届けていただけたら嬉しいなと思います」

 

 

そして中西選手は自身の最後の挑戦と並行して、次の世代の人たちが夢を持つための手助けをする活動を始めようとしています。

 

◆中西麻耶さん

「その中でも、私は唯一地方でやっている選手なので、誰よりもその苦労をわかるだけに、皆さんにとってのいい一歩を踏み出せる大きな役割になれるんじゃないかなと思っています。」

 

 

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