「国民全員が歯科健診を」政府が検討する狙いは 歯の状態で糖尿病や脳梗塞になるリスクも 大分

2022年07月25日 16:30更新

政府が6月発表した骨太の方針に「実現に向けて検討を始める」として盛り込まれているのが「国民皆歯科健診」。すべての国民に歯科健診を受けてもらうというものです。

なぜ検討が始まったのでしょうか。

 

■「歯」が重要なワケ

 

そもそも歯科健診は、1歳半と3歳児のほか小中高に通う子どもに実施が義務づけられていますが、それ以外の人は大人も含め対象外です。

大分県が2016年に行った調査では、20歳以上の定期健診の受診率は26、5%で、虫歯になったり歯周病が進んでからようやく受診する人が多いのが現状です。

 

大分市にある吉川歯科医院の吉川宜近院長は「(虫歯や歯周病は)最終的に歯を失ってしまう可能性がある。また歯周病は糖尿病などの全身疾患と互いに影響しあうメカニズムが存在するとされている」と話します。

特に歯周病は「万病の元」とも言われていて、糖尿病のほか誤嚥性肺炎、脳梗塞など他の病気との関連も指摘されています。

 

厚生労働省によりますと、歯のメンテナンスができている人はできていない人に比べて、消化器外科や小児科などでの入院期間が10%以上短いというデータもあるということです。

今回、骨太の方針に盛り込まれた国民皆歯科健診は歯周病などを早期に見つけて他の病気の誘発を防ぐねらいがあります。

 

■実際の健診は

 

大切な日ごろからの健診。実際に定期健診ではどんなことをしているのでしょうか。

 

まずは歯周病のチェック。

針を使って歯と歯茎の間の溝の深さや炎症がないかなどを確認します。出血が多かったり溝が深いと歯周病が疑われるということです。

このほか、虫歯がないかや歯全体をチェックして汚れがどこに溜まりやすいかなどを調べます。

 

健診では歯を守るために大事な歯磨きの指導も行います。

磨きにくい場所への歯ブラシのあて方や磨き方のコツを教えてもらいます。

吉川歯科医院では3か月から4か月に1回のペースで健診を勧めています。

 

◆吉川歯科医院 吉川宜近院長

「歯科医院といえば痛い時に行って痛いことをされてしまうイメージもあると思う。(検診は)治療中の痛みもほぼなく、口の中が清潔になり気持ちいいことだと思う。(国民皆歯科健診は)痛くなくても歯科検診を受診するきっかけになることを期待する」

 

国民皆歯科健診はすぐ実施されるわけではありませんが、歯のケアが大事なのは間違いありません。健康を維持するためにも、普段からケアをしておくことが大切です。

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