風情ある温泉街を襲った濁流 旅館営む一家が犠牲に 悲劇を繰り返さないために

2022年07月13日 14:30更新

おととし2020年のの7月豪雨で4人が亡くなった大分県由布市湯布院町の湯平温泉で7日、追悼式が行われた。災害から2年、この間、悲劇を繰り返さないようにと地域では様々な取り組みが進められてきた。今の被災地を訪ねた。

 

県内各地に甚大な被害をもたらしたおととしの7月豪雨。

由布市湯布院町では花合野川に車が流され、乗っていた4人が犠牲となった。4人は湯平温泉で旅館を営む一家だった。

 

 

豪雨から2年。

7日は観光協会が主催する追悼式が行われた。

 

 

参列したおよそ20人は川に菊の花を投げ入れ、改めて4人の冥福を祈った。

湯平地区の区長、麻生悦博さん。

       

◆湯平地区の区長 麻生悦博さん

「令和2年の7月豪雨からあっという間に2年が過ぎて、早めの復旧が(犠牲となった渡辺家の)1番の供養になるのかなと思いました」

 

風情ある温泉街を襲った大雨。

あの日の状況を麻生さんは次のように振り返る。

 

 

◆湯平地区の区長 麻生悦博さん

「石畳通りも30センチくらいか、泥水とがれきが流れてきて本当に恐かった」

 

災害で4人の仲間を失った湯平温泉。二度と繰り返してはならないと地区では豪雨以降、防災・減災の取り組みを進めてきた。

大分大学の教授などを招き、定期的に研修会を実施。

 

 

この中では当時の被災状況を地図に落とし込み、危険なか所や注意点などを地区の住民で共有した。

また、自主防災組織を立ち上げ、情報伝達や救護など万が一の場合の役割を決めることで災害への備えを強めようとしている。

 

◆湯平地区の区長 麻生悦博さん

「区民の皆さんが防災・減災などを勉強しながら、こういうことが起きた時にはこうするんだとか、そういう研修にも出てもらって、歴史ある湯平温泉街を守っていけるのではと思う」

 

豪雨で大きな悲しみが広がった湯平温泉。

それでも2年が経ち、新たな取り組みを始めようとしている。

 

亡くなった一家が営んでいた旅館、つるや隠宅。

 

 

ここを観光協会が買い取り、湯平温泉の観光拠点とする計画だ。

 

◆湯平地区の区長 麻生悦博さん

「私たちが元気でこの湯平を守っていくことが渡辺家の供養になるのではないかなと思っているので、湯平区民一致団結して前を向いて元気にやっていければと思う」

 

7月豪雨から2年が経ち鎮魂の祈りに包まれた湯平温泉。

防災と観光振興への思いを新たに、今後も歩みを進めていく。

被災地の復興は進んでいるが、それ以外の地域でも記憶を風化させず日頃から備えをしておくことが大切だ。

 

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