東京一極集中のスタートアップ 地方からの上場は数年に一度、アクセラなどの支援と課題【大分】

2025年03月23日 08:00更新

スタートアップは東京に6割 大分の上場は6年ぶり

 

「ベンチャー」や「スタートアップ」など新しい事業で成長を目指す企業について、大分県内の現状や支援の取り組みなどについてお伝えします。

 

 

ベンチャーやスタートアップ、実は国などが定めた明確な基準はありませんが、いずれも「新しい事業で成長を目指す」企業です。例えばGoogleやアマゾンといったGAFAと呼ばれる超巨大企業、国内で言うと個人同士で商品の売買ができるメルカリなどもスタートアップの成功例です。

 

 

大分県内では、大分市の会社で半導体関連のスタートアップ、TMHが2024年、東京と福岡の証券取引所に上場しました。スタートアップにとって「上場」は成長の大きなステップの1つですが、 県内企業が上場するのは6年ぶりだという事です。

 

 

 

地方の課題、東京への集中

 

こうした企業の成長は雇用の創出や税収の増加といった経済効果が期待されていて、大分県も「新たな産業の柱のひとつ」に位置付けて、様々な支援を行っています。その一方で、地方にとって課題とも言えるのが都市部への企業の集中です。

 

 

例えばスタートアップは国内のおよそ3分の2が東京にあると推計されています。こうした中、大分から新たな成長企業を生み出そうという取り組みを取材しました。

 

 

 

 

 

県内のベンチャーやスタートアップなどを支援しようと、大分県が2023年度から開催しているプログラムが「おおいたグロースベンチャーズ」です。

 

 

支援の対象に選ばれると各分野の専門家による個別相談や、協業が期待できる企業とのマッチングといったサービスを無料で受けることができます。

 

 

◆県商工観光労働部別所宏朗さん

 

「地域課題を解決して大分県を新たなステージに引き上げる。産業の新陳代謝や活性化、新たな成長エンジンの創出を大分県として期待している」

 

 

2024年度のプログラムでは、応募があった中から5人が支援を受けることになりました。

 

 

そのうちの1人、花田亜弥さんが取り組むのは24時間365日対応するベビーシッターサービス。県内で23人の保育士が登録していて、1時間単位で利用できる手軽さも特徴です。

 

 

 

花田さんは自身の子育ての経験をもとにサービスの必要性を感じ、事業拡大に取り組んでいます。

 

 

◆花田亜弥さん

 

「皆、ワンオペ。例えば赤ちゃんが夜泣きで寝る時間ないよと言って、本当に辛い思いをしているママもたくさんいる。本当に困ったと思った時に、すぐに声を上げられるところに価値がある。大変ですけど、お役に立てているんだなって思うとすごくやりがいがあります。」

 

 

プログラムを通じて、冠婚葬祭の際の子供の一時預かりや、サービスの全国展開など具体的な計画が進んでいます。

 

 

このほか仲介業者を挟まずに個人同士で不動産を売買するプラットフォームの運営や、有機栽培したコーヒー豆の輸入事業などが対象となっています。

 

 

およそ7か月間のプログラムの最後には、デモデイと呼ばれる成果の発表会が開かれました。温めてきたアイデアや事業、それらを今回の支援を通じてどう磨き上げたのか。

 

5人は具体的な事業内容や今後のビジョンなどを熱く語っていました。

 

 

 

◆花田亜弥さん

 

「大分県が全国に先駆けて子育て先進県になりたい。人が人を支える地域づくりに一緒に取り組んでいただけないでしょうか」

 

 

7か月の支援を受けた5人の起業家たち。今後、新たなサービスを始めたり、 事業を拡大したり、さらなる成長を目指して一歩を踏み出します。

 

 

ただ、新しい事業に挑戦するにあたっては課題もあります。県によりますと、大きな課題の1つは資金調達です。新しい事業にはリスクも伴うため、投資家による出資や銀行による融資の敷居が高いこと。

 

 

もう1つは人材の獲得です。売り手市場ということもあり、知名度が低い段階で社員を採用するのに苦労するというケースが多いようです。

 

 

また、今回、紹介したプログラム以外にも支援の窓口などが設けられています。起業に関する相談が無料でできる「おおいたスタートアップセンター」。

 

 

そして、新規事業のアイデアを競う「OITAゼロイチ」というコンテストもあります。こちらは賞金100万円が用意されています(2024年度の実績)。起業を検討している、関心があるという人は調べてみてはいかがでしょう。

 

 

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