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2021年に大分県大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故の裁判員裁判が11月5日から始まります。
危険運転の処罰の在り方が議論されるきっかけの1つになった今回の事故。
発生からおよそ3年9か月でようやく始まる裁判を前に、遺族がいまの心境を語ってくれました。
時速194キロで事故 被告の男(当時19歳)「買ったばかりの外車で何キロ出るか試したかった」
◆小柳憲さんの姉・長文恵さん
「今まですごく長い時間待たされてきて、やっと裁判が始まることになったが、いよいよかという気持ちと、どういう風になるのかという不安もあってこの日を迎えることになる」
こう話すのは、事故で弟を亡くした長文恵さんです。
2021年2月9日の午後11時ごろ、大分市大在の県道で市内に住む小柳憲さんが交差点を右折しようとしたところ、時速194キロで直進してきた車と衝突し、亡くなりました。
捜査関係者によりますと、車を運転していた当時19歳の男は「買ったばかりの外車で何キロ出るか試したかった」などと話していたということです。
「過失運転致死罪」で起訴 遺族は「危険運転致死罪」への変更求めて署名活動
警察は、男を危険運転致死罪の疑いで書類送検しましたが、大分地検は法定刑が軽い過失運転致死罪で起訴。
2つの罪は刑の上限が異なっていて、「危険運転致死罪」は懲役20年以下、「過失運転致死罪」は7年以下となっています。
◆小柳憲さんの姉・長文恵さん
「起訴された時に『過失』だった。それはとても納得のいかないことだった」
遺族は起訴内容の変更を求めて署名活動を行い、2万人以上の署名を大分地検に提出。
その後、より刑の重い「危険運転致死罪」に変更され、裁判員裁判が行われることになりました。
裁判員裁判 最大の争点は「危険運転致死罪」が成立するかどうか
事故からおよそ3年9か月、ようやく始まる裁判。
弁護側は争う方針で、最大の争点は「危険運転致死罪」が成立するかどうかです。
危険運転致死傷罪が成立する条件には「飲酒運転」や「赤信号無視」「制御困難な高速度」「妨害運転」などがあります。
今回の裁判では、時速194キロで走行していた当時の状況は車を制御できなかった「制御困難な高速度」であること、そして小柳さんの車の通行を妨害する目的があったこと。
これらを検察が立証できるかがポイントです。
遺族の傷は癒えないまま事故から3年以上が経過。
法の壁と戦い続けたこの期間はとてもつらい日々だったと振り返ります。
裁判に臨む遺族「いい形で報告できるように」
◆小柳憲さんの姉・長文恵さん
「けっこう孤独というか、周りの人と自分がなんだか違う世界にいるようなそんな感じで、自分の苦しい部分とかは、なかなか人に打ち明けられず過ごすという期間も長かった」
「私の心情や遺族の苦しみは裁判の場で、皆さんに明らかにしたい部分でもある。いい形で弟に報告できるように、今その思いで臨んでいく」
◆TOS山路謙成記者
「時速194キロでの走行は『危険運転』か、それとも不注意による『過失運転』なのか、大分地裁での裁判は全国的にも注目されています。いよいよ始まる裁判の判決は11月28日に言い渡されます」