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10月8日、別府市で講演したのは39歳の若さで若年性アルツハイマー型認知症と診断された男性。「忘れてしまう悲しみよりもこれからのワクワクを大事にしている」と話す男性の病気との向き合い方は。
■39歳で診断されて
ーー丹野智文さん「日焼けしてるでしょ。歩いているとよく道に迷うからなんですよ」
集まった180人の観衆を前に笑顔でこう話すのは、宮城県仙台市の会社員、 丹野智文さん(50)です。自動車販売会社のトップ営業マンとして働いていた39歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。
明るい姿が印象的な丹野さんですが、診断された当時は大きなショックを受けたと言います。
ーー丹野智文さん「これからどうしていけばいいかわからなくて。インターネットで若年性認知症について調べたら11年前は全然いい情報がなく進行が速くすぐに寝たきりになると書いてあって。それを信じ込んだので、もう人生終わったと思った」
■前向きになったきっかけ
車の運転ができなくなったため、趣味のゴルフなどからも遠ざかってしまい、診断されてから1年半ほどは、暗い気持ちでいたといいますが、転機となったのは、同じ認知症の当事者との出会いでした。
ーー丹野智文さん「その人と一緒に行動していたらすごく元気になる。俺の方が若いのになんでうじうじしているんだろうと思って、この人のように生きてみたいと思ったことが私が前向きになったきっかけ」
そんな時、地元の講演依頼を受け、次第に各地で自身の体験を伝えるようになりました。今は自動車販売会社に勤めながら、全国で講演をしています。
ただ、丹野さんは「呼ばれるからやっているだけ」と笑いながら話します。
ーー丹野智文さん「社会を変えたいとかは思ったことがなくて。私が不安で不安でしょうがなかった時期があったが、目の前の当事者たちのそういった機関を少しでも短くしたいと思って活動している」
■失敗するからこそ自信に
この日の講演で、伝えていたのは認知症当事者自身が「自立すること」。周囲の人たちが優しさからいろいろ先回りしてやってしまうから、本人はどんどん自信を失ってしまう、と言います。
日々、全国を飛び回る丹野さんですが、基本的には1人での移動。1人でトラブルはないのか、と問うと、「たくさん失敗をします」と言います。
ーー丹野智文さん「わたしはとにかく失敗は多い。失敗するから工夫する。工夫することで成功体験が生まれるから、こうやって自信になって元気になっているんじゃないかな」
コインロッカーを使用する際は周囲三方を必ず写真撮影。ホテルに入ればまず部屋を写真に納める。キャリーケースもわかりやすいように目立つものを。丹野さんの生活は、「工夫」にあふれていました。それでも忘れてしまったときは?「聞けばいい」。だからこそ周囲の人を大切に生きてほしいと話します。
ーー丹野智文さん「将来のことを考えるともちろん不安になる。だから目先の楽しみを大切にしている。僕は昨日の晩御飯なんてすぐに忘れてしまう。でもそれを忘れることで大して人生に影響なんてないよね。忘れたことを悲しむよりも、きょうの晩御飯は何かなとワクワクする気持ちを大事にしている」