“1人じゃないって伝えたい”「線維筋痛症」で闘病の経験を自伝風小説に そこに込められた思い【大分】

2024年03月06日 16:00更新

ある女性が病気と闘いながら大学生活を送る様子が描かれた小説。
実は県内に住む女性が、自身の経験をもとに書いたものなんです。
この小説に込められた思いを取材しました。

《わたしはこの人生をマイナスだけでは終わらせない》

去年5月に出版された小説「run」。
教師になる夢を持つ大学生が、病気が原因で進路や人間関係などの問題に直面する物語です。


 

この本を書いたのが県内に住む20代の新藤朱華さん(ペンネーム)。
本に登場する、病気の女性は自身がモデルになっています。

新藤さんは「線維筋痛症」という病気を抱えていて、高校2年生の時に突然体に異変を感じたといいます。

――新藤朱華さん
「段々体が重たくなってきて、通学もきつくなってきて、友達との会話も頭が回らなくな ってついていけなくなって来たのが最初」

学会などによるガイドラインによりますと、線維筋痛症は全身の痛みやこわばりなど人によって様々な症状が現れます
その症状の複雑さから病気としての特定が難しいとされていますが、全国には200万人以上の患者がいると推測されています。

新藤さんは教師になるために県内の大学に進学、しかし、教育実習中に経験した体の辛さに教師にはなれないと挫折したそうです。

――新藤朱華さん
「ごはんもまともに食べれなくて、栄養失調みたいな感じで震えたりとか、意識失いかけて救急車で運ばれたりして本当に毎日しんどくて…」

病気を発症してから新藤さんの支えになっていたのが読書です。
本の中の言葉に励まされ生きるヒントにしていました。
しかし…

――新藤朱華さん
「生きるか死ぬかぐらい症状がひどくなった時に読んでいて、励まされる本が段々無くなってきて、自分が救われる本を読みたいって思ったのが一番のきっかけ」


 

小説を書いたことはありませんでしたが2019年から執筆に挑戦。
約4年間、体調を見ながら少しずつ書き進め、去年5月、自費で出版しました。

新藤さんの本の表紙にはカラフルな花のイラストが。
県内で活動する画家北村直登さんの作品です。

――画家 北村直登さん
「『私、本を書こうと思ってます。 もし書けたら表紙の絵とか使わ せてもらえませんか』って言っ て病気されてるとか、色々苦労しながら執筆されてると聞いて、僕で力になれるならという感じで。ほんとにこうやって言って成し遂げる人いるんだって(驚いた)」



 

新藤さんはいま新たなことに挑戦しようとしています。
この日は、由布市にあるカフェで打合せ。
元教師のオーナーの藤井契さんは、新藤さんの本と病気を知って今後、学校で講演活動が出来るように後押ししています。

――トストコーヒーロースター 藤井契さん
「ワンポイントの人権学習、特別授業の1時間であれば。1時間彼女がずっとしゃべるんではなくてサポートしながら出来るんだったら、子どもたちの前に立てる、教壇に立つって夢がちょっとでも叶うじゃないかと思った」

――新藤朱華さん
「(教壇に立つことは)ずっと遠くの夢だったが近い未来にあるんだと思ったら、すごくわくわくしている」


 

現在、2作目を執筆中という新藤さん。本を通して伝えたいことは。

――新藤朱華さん
「一番は今つらい思いをしていたり独りぼっちだなって、苦しいなって思ってる人達に1人じゃないって伝えたい。皆さんが苦しんでいる時、私も多分絶対苦しいんですけど。頑張って前向きに進むので一緒に生きませんかって言いたい」

新藤さんの本は、大分市のトキハ本店やインターネットで販売しているということです。

 

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