トリニータ・片野坂監督 退任会見フル配信!6年間の思い伝える

2021年12月21日 19:48更新

6年間の思い

 

チーム史上最長の6年に渡り、大分トリニータで指揮を執ってきた片野坂知宏監督。2021年12月20日に行われた退任会見での思いを詳しくお伝えします。

 

動画はこちらから。

 

 

退任会見に臨む片野坂監督

 

 

6年間の軌跡

 

まずはこの場を借りて、私を監督として迎え入れてくれたことを榎社長、西山GMそして、大分トリニータのクラブの関係者、また、スポンサーの皆様、そして、ファン・サポーターの方々にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。2016年に就任して、目標としては1年でJ2に復帰するということを掲げました。色々な方の支えがあり、なんとか1年で復帰をすることができました。これが私にとっても自信になりましたし、非常に大きな意味があったと思います。そして、17年、18年とJ2で戦う中で、いろんな戦術をバージョンアップさせながら、できるだけ早くJ1に復帰したいという思いはあったのですが、まさかの2年でJ1に上がるということは想定外ではありました。

 

そして、2019年のJ1初年度、開幕戦のアウェー・鹿島アントラーズ戦で勝利を挙げることができました。そこから選手も自信を持って、私も自信を持ちながらJ1でチャレンジすることができ、9位という素晴らしい成績を挙げることができたと思います。2020年はJ1の2年目という中で、なんとかJ1に定着できるチーム作りというところで、コロナという非常に世界的にも大変な状況になり、降格が無いレギュレーションで戦うことになりました。

 

忘れられない4試合に

 

そして、今年。J1で20チームというこれまでにないレギュレーション、そして、降格が4チーム。連敗もありましたし、悔しい敗戦もありましたし、勝てない状況もありました。私自身も悔しく、何よりファン・サポーター、そして選手・スタッフ、クラブの関係者、トリニータに関わる全ての方々が残念な思い、悔しい思いをさせてしまっている状況になり、私としても今年このまま指揮を執らせていただいていいのかということも自問自答し、榎社長、西山GMにも相談しました。その中で、榎社長、西山GMは私を信じてくれました。それで、私自身も最後まで戦わせていただきました。残念ながらこういう結果になって、悔しい思いをしました(目から涙がこぼれる)。

 

ただ、降格が決まった鹿島戦の後、横浜FC戦、柏レイソル戦、そして、天皇杯の準決勝・川崎フロンターレ戦、そして、決勝戦の浦和レッズ戦、この4試合は本当に素晴らしい戦いをしてくれました。これは私の力じゃなく、本当に選手・スタッフが次の試合、目の前の試合に対して、どういう思いでトリニータとして戦わなくてはいけないかということを感じて、それをピッチで表現してくれたと思います。この4試合は私の中で忘れられない4試合になりますし、来季に向けて自信になるゲームだったんじゃないかなと思います。私自身もこの4試合が本当に幸せな時間を過ごさせていただいたと感じました。

 

ホーム最終戦

 

またJ1で躍動するチームに

 

天皇杯も優勝して今日の退任会見として、有終の美を飾れることが私としての最高の結果だったと、私自身も思いますし、皆さんもそういうものを望む部分もあったと思います。ただ、サッカーの神様は簡単に勝たせてくれないですし、そういう甘いもんじゃないと突き付けられたと私自身は感じています。ただ、天皇杯で決勝戦に行けたこと、その場のピッチに立って、雰囲気を選手たちが感じることができたことは必ず来季につながる財産になるんじゃないかなと。ただ、財産であってはいけないと思います。これをどういう風に今後に生かすか、自分の成長をチームの成長に生かしていくか、そういった思いで来季J2からのスタートになりますけれども、なんとか厳しい戦いを勝ち抜いていただき、大分トリニータがまたJ1に復帰し、定着できるチーム、そして、こういったタイトル争いができる、躍動するチームになっていって欲しいと心から願っています。

 

私自身も大分で過ごさせていただき、指揮を執らせていただき、本当に幸せだったと思います。今年に限って悔しい思いばかりで非常に悔いが残りますが、この大分での6年間、そして、大分トリニータでの指揮を執らせていただいた6年間、私は決して忘れることはないです。この6年間を大事に次のステップに進んでも、自分の監督としての成長、人間としての成長、さらにサッカー界にいい影響を与えられるように、しっかりと精進したいと思います。本当に6年間ありがとうございました。

 

過去の練習時

 

質疑応答

 

Q:大分で指揮をして見えたチームやクラブの課題は?

 

予算規模も限られた中でやらなければいけないことは、我々大分トリニータだけではなく、他の地方のクラブもそういう状況は変わらないと思います。そして、少しでも強化費に充てる予算というものもやはり多ければ多いほど、選手の幅というものも広がると思いますし、それに伴う戦術だとか戦い方というところの幅も広がると思います。そこはクラブがいきなり大きくはできないかもしれないですけれども、着実にしっかりと少しずつでも予算を上げていくなり、クラブとして成長していくなり、そういうビジョンを持った中でやっていくことというのはすごく大事なことだと感じています。榎社長が来季以降もまた引っ張っていってくれると信じています。

 

サッカーに関しては、昨日の(天皇杯の)決勝戦、自分たちにあって浦和レッズさんがなんで優勝したか、自分たちに足りないもの、それは戦術というより、サッカーのベーシックな部分、走ることや球際を戦うこと、フィジカル的な強さ、そして、クオリティー、そういったところはやっぱり浦和レッズさんは非常に素晴らしいものがあったと感じました。どちらに転ぶかわからない球際だとかフィフティーフィフティーのボールも相手に拾われている、そういった泥臭い部分は改めて大事だなと。本当に勝つチームはそういうものがやっぱり、長けていたり、強かったり、こだわっていたり、そういった部分が我々には足りなかったんじゃないかなと。今年の天皇杯の決勝でピッチに出た選手、それを見ていた選手たちがどういう風に今後に生かしてくれるのか、私自身も見ておきたいし、楽しみにしておきたいです。、成長するためにはそういった部分から目を離さずに、どれだけ突き詰めてトレーニングができるかということをトライしてやって欲しいなと思います。

 

大分は第2の故郷

 

Q:監督としてのスタートが大分トリニータだったことに関しては?

 

J3に降格したクラブをもう一度J1にという覚悟を持ってさせてもらいました。私自身も大分トリニータでプレイヤーとしてやらせていただきましたし、縁もあるし恩もあるクラブでした。そして、大分県が好きですし、温泉大好きです。食事もおいしいし、環境も本当に素晴らしいし、過ごしやすい。そして、サッカーに集中できる環境だったところもあります。全部じゃないですが、恩返しが少しはできたのかなというところはあります。ただ、降格させてしまっています。これは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。大分トリニータへの、大分県への思いというのは、私はずっと心の中で残っているものだと思いますし、消えることはないです。また、いつかトリニータに関わることができたら、素晴らしいことですし、大分県を第2の故郷と考えて過ごせて行けたら。

 

「グッドルーザーでいよう」

 

Q:天皇杯の決勝戦の試合の後、どういう意味で「グッドルーザーでいよう」と語りかけた?

 

あの時は私自身も悔しかったですし、やっぱり勝ちたかったですし、勝ってファン・サポーターと喜び合って、シーズンを終えたかった。決勝戦では勝者もいれば敗者も必ずいます。じゃあどういう風に敗者だったかという中で、決勝に行ったことは本当に我々にとって素晴らしい成果だったと思いますし、敗戦したんですけど、私たちも勝ちに値するゲームができたと。そこは自信を持って欲しかった。準優勝でも我々が成し遂げたことというのは素晴らしいことだよと、その価値を選手にもしっかり示さなければいけないという中で、「グッドルーザー」という形の言葉を表現させていただきました。顔を上げて、しっかりと最後まで自分たちは一生懸命戦い抜いたんだと表現することというのはプロとしても凄く大事なことだと感じたので、選手にメッセージとして伝えさせていただきました。

 

Q:今の自分が6年前の自分に何か言ってあげられるとしたら、どういうことを言いたいですか?

 

「若かったなぁ」という感じですかね(笑)

 

 

ーー片野坂監督、本当に6年間ありがとうございました!

 

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