時速194キロ死亡事故 検察が控訴へ 一審判決は「危険運転」認定し懲役8年 遺族「量刑軽すぎる」
時速194キロの車による死亡事故は「危険運転」か「過失運転」か。
全国的にも注目された大分県大分市で3年前に起きた事故の裁判員裁判で、28日、大分地裁は「危険運転致死罪」が成立すると判断。
被告の男に対し、懲役8年の実刑判決を言い渡しました。
◆TOS児玉直輝
「いよいよ判決の日を迎えました。全国的に注目が集まるこの裁判員裁判、大分地裁の前には傍聴券を求めて長蛇の列ができています」
「危険運転」か、それとも「過失運転」か―
大分地裁の判断が注目される中、28日の判決公判を見届けようと、69席ある傍聴席を392人が求め、抽選では長い列ができていました。
事故は2021年2月、大分市の臨海部を東西に走る通称「40メーター道路」で起きました。
時速194キロで直進する被告の車が交差点で右折してきた車と衝突し小柳憲さん50歳が亡くなりました。
当時19歳だった被告の男について、大分地検は当初、法定刑が懲役7年以下の「過失運転致死罪」で起訴。
しかし、遺族の署名活動などのあと、法定刑が懲役20年以下の「危険運転致死罪」に起訴内容を変更しました。
そして11月5日、事故から3年9か月の時を経て裁判員裁判が始まりました。
全6回にわたって行われた審理で「危険運転」か「過失運転」か検察側と弁護側は真っ向から対立します。
検察側は、「わだちや凹凸のある現場の道路を194キロで走行した場合、ハンドル操作は困難になる。また、被告の運転は他の車両の安全な通行を妨害するものだった」などと主張し懲役12年を求刑。
一方、弁護側は「車は被告の意図した通りに直進出来ていて他の車の通行を妨害する積極的な意思も無かった」などとして、「危険運転致死罪ではなく過失運転致死罪で処罰されるべき」と訴えました。
そして迎えた28日の判決公判。
◆裁判長
「主文被告人を懲役8年に処する」
◆TOS渡辺一平記者
「危険運転を認めました。大分地裁は危険運転致死罪を適用し、時速194キロで車を運転し、死亡事故を起こした被告の男に懲役8年の実刑判決を言い渡しました」
辛島靖崇裁判長は「ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって事故を発生させる危険性があった」とし、「進行を制御することが困難な高速度」だったと認定。
「危険運転致死罪」が成立すると判断しました。その上で、「常習的に高速度走行に及ぶ中、マフラー音やエンジン音、加速の高まりを体感して楽しむために犯行に及び、落ち度のない被害者の生命が奪われた結果は重大」などとして、被告に対し、懲役8年の実刑判決を言い渡しました。
判決後、被告の弁護士は「控訴についてはコメントを控える今後、判決内容を精査する」と話しています。