【独自】海上保安庁の小型機不時着 無線記録入手 機体から「黒い煙」エンジン内で不完全燃焼か 大分

2023年06月01日 18:40更新

ことし4月、宇佐市の農地に不時着した海上保安庁の小型飛行機について、不時着する直前に機体から「黒い煙」が出ていたことが分かりました。

専門家はエンジン内で不完全燃焼が起きていた可能性を指摘しています。

この事故はことし4月、海上保安庁の小型飛行機が訓練飛行中、宇佐市松崎の農地に不時着し乗っていた2人が軽いけがをしたものです。

国は「航空事故」と認定し、原因の調査を進めています。


 

この事故についてTOSでは情報公開請求を行い、海上保安庁の無線記録を入手しました。


 

それによりますと、不時着のおよそ10分前、小型飛行機は「異常なし」と連絡していました。


 

しかし、そのわずか3分後出力が低下。


 

さらにその3分後には近くで訓練飛行をしていた別の機体から連絡が入ります。

◆別の機体からの無線連絡
「『緊急着陸する』(と連絡)。人いない建物なし」
「後方から黒い煙」

そして、機体は不時着しました。


 

連絡にあった「黒い煙」について、航空機の専門家は次のように話します。

◆日本文理大学 航空宇宙工学科 中野慎介准教授
「ガソリンが燃え残る場合にはすす(黒い煙)として外に出るケースが考えられる」
「エンジンの燃焼の不具合があったのではないのか」

事故の原因については海上保安庁でも独自に調査を進めています。


 

日本文理大学 中野准教授のインタビュー詳細

 

――不時着の原因で考えられることは?
不時着をした機体のエンジンの出力が60パーセントまで下がったという情報と黒い煙が出てきたということで、おそらくこの2つは同じ原因によるものなのではないか。
おそらくエンジンの燃焼の不具合があったのではないのかと感じる。
「空気」と「燃料」と「着火」の3つがそろって、正常な燃焼を起こして、エンジンの出力にしていくが、おそらくこの3つのバランスが悪かった。
その結果、不完全燃焼という形で黒い煙が出たのではないのか。

――黒い煙はどのような時に出る?
ガソリンが燃え残る場合にはすす(黒い煙)として外に出るケースが考えられる。

――事故調査のポイントは?
まずはエンジンに焦点を当てていくと思う。
黒い煙が出たから、エンジンに空気の取り入れがちゃんとできていたのか、燃料がちゃんと送られていたのか、点火がちゃんとできていたのかを中心に調査が進むのだと思う。
機体が残され、搭乗員が無事だったので調査はきちんと進むと思う。
隣で飛んでいた飛行機が「黒い煙」の確認ができたことは証言としてはとても有効。

 

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